新聞の朝刊をお願いしようかなと近所の新聞配達業者の前で考えていると、中から一人出てきて、わたしにセールストークをはじめました。少し聞いていると「今なら○○日間、無料でお試しできます。」とクロージングが。
最近このような「今なら○○日間、無料でお試しできます。」や「無料サンプルをプレゼント」というフレーズが多くなってきていると思いませんか?テレビ広告、Web広告では見ない日はないはずです。
このフレーズはいままでもよく使われています。
わたしがはじめて無料オファーを受け取ったのは、20年程前です。新大阪駅構内でソフトバンクがADSL機器(当時まだ光回線がなかったので)を無料で配っていました。プロバイダーでYahoo!BBを数年間使うという条件だったと思います。当時はまだ珍しくいぶかしかったので、いくつか営業員に質問し、騙されてないと思ったので受け取り設置しました。得した気分で家に帰ったのを覚えています。
なぜ、企業は無料で配るのか?
あなたはLTV(ライフタムバリュー)という言葉を知っていますか?LTVとは顧客生涯価値と訳されます。お客様があなたの商品やサービスを購入したら、何回購入し、いくら使ってくれるかということです。このLTVがわかれば、新規のお客様獲得にいくら使えるかということがわかります。
例えば、平均的な新規顧客は最初の購入で平均5,000円の粗利益をあげている。この顧客が年4回あなたからリピート購入し、一回のリピート購入につき10,000円の粗利益があるとする。平均的なLTVが3年とすると、新規顧客一人あたりの価値は、125,000円(=5,000円+10,000円×4×3)となります。
新規顧客を獲得するのに、一件5,000円かかるとしたら、これから投資する5,000円には125,000円の価値があります。あなたは、一件5,000円で新規顧客を獲得できるのなら、新規獲得に費やす予算を上げてみたいと思うはずです。
極端な話ですが、理論上、新規顧客一件獲得するのに125,000円費やしても、収支トントンという計算になります。
少ない資本しかなくても、この方法は試せます。最初の販売を促すために、利益の100%を投資するという方法もあります。最初の購入で得た平均5,000円の粗利益を新規顧客獲得に投資すれば、この5,000円は3年後に120,000円になります。顧客数を増やした分だけ、今後3年間の利益も増加します。
企業はこの仕組みを理解し、分析しているのです。だから魅力的な無料オファーが出せるのです。
これがLTVの計算式です。
1.一回のセールスでの平均的な販売額と利益を計算する
2.一人のクライアントが繰り返して何回買うか調べ、それによる追加利益を計算する。
3.マーケティングにかかる経費をクライアントの数で割り、一人のクライアントにかかる経費を正確に計算する。
4.同様に見込み客についての経費も計算する
5.見込み客の中から、販売に結びついた件数を調べる(見込み客がクライアントになる確率)
6.一人のクライアントが買い続ける間に稼げる利益の総額から、クライアントにする(変える)のにかかる経費を差し引いて、クライアント一人あたりの利益額を計算する。
ぜひ、あなたのビジネスで試してみてはいかかでしょうか?
「ハイパワー・マーケティング」ジェイ・エイブラハム著
金森重樹監訳 参照